早期診断

 BPDは深刻な行動化、対人操作、治療者の逆転移などによって治療構造が破壊されやすいので、できるだけ早期に診断することが重要である。以下の点に気がついたときには、BPDの可能性を検討する。(抑うつ症状は絶望、空虚感、孤立無援感、孤独感、憤怒、無力感が繰り返し経験されること、しかもそうした感情体験が多くは思春期から持続していることが特徴)



1)うつの病前性格メランコリー親和型ないし執着気質でないとき
2)他罰的、他責傾向が認められるとき
3)自殺企図に自傷行為(特に手首切り、薬物大量服薬)があるとき
4)抑うつ症状の表現に落ち込みと寂しさと空虚感と怒りが強調されるとき
5)家庭内暴力が認められるとき
6)抑うつ症状は短期間のことが多く、長くとも3週間以上は持続しないこと、ときに短期間の万能感や躁気分がみられるとき(双極性障害との誤診に気をつける)