Personality障害

Cluster A
統合失調質(シゾイド) 喜怒哀楽に乏しく他人との交流が少ない(アスペルガーと関連)
統合失調型(シゾタイパル) 奇異な信念、奇妙な空想にふける。対人関係で過剰な不安
妄想性    不信感が強く疑い深い(前2者に比べストレスの影響を受けにくい)

Cluster B
境界性  感情不安定、衝動性強い。 対人関係、自己像が不安定
自己愛性 人に認められたい 誇大性 
演技性  情緒的、人の注意をひく
反社会性 他人の権利を侵害。違法行為を繰り返す

Cluster C
回避性 否定的評価に過敏 (社会不安障害と関連)
強迫性 完璧主義で融通にかけ柔軟性がない (強迫性障害と関連)
依存性 面倒をみてもらいたい


パーソナリティ障害は『性格の著しい偏りのために自分自身。あるいは社会が悩むもの』と定義される。外来を受診する境界型患者がパーソナリティ病理を悩んでいることは少ない。パーソナリティ病理と併存する大うつ病摂食障害解離性障害強迫性障害、その他の神経症性障害、アルコール依存、あるいは家庭内暴力などで受診する。

治療はパーソナリティ障害から2次的に生じる苦悩に焦点をあて、自我機能の健康な部分を引き出す。まず治療構造をしっかり設定する。可能なことの限界を示す。外来受診の間隔、面接時間などを患者としっかり話し合って決めておく。患者が約束を破った場合もどうするか決めておく。治療が成立しない場合、適応ではないことを告げることで、患者の健康な部分が引き出され自律性の感情が強くなるケースもある。

 境界性Personality障害(≒境界例)は最初は神経症圏と精神病圏(統合失調症圏)の境界という意味だったが、現在はPersonalityの病理のみを示す概念とされている。




DSM-Ⅳの全般的基準
その人の属する文化から期待されるものより著しく偏った内的体験および行動の持続的パターンがあり、それは以下の2つ以上の領域に表れる。(1認知 2 感情 3対人関係機能 4衝動コントロール
その持続的パターンには柔軟性がなく、個人的および社会的状況の幅広い範囲に広がっている。
その持続的パターンによって、臨床的に明らかな苦痛、または社会的、職業的もしくは他の重要な領域における機能障害を引き起こしている。
そのパターンは長期間安定して持続しており、その始まりは遅くとも青年期もしくは成人期早期までさかのぼることができる。
その持続パターンは、他の精神疾患の表れ、またはその結果では、説明されない。
その持続的パターンは、薬物(薬物乱用や投薬)の作用や一般身体疾患(例えば頭部外傷)の直接的な作用によるものではない。
言い換えると、
物事のとらえ方、考え方に偏りがあるか対人関係の取り方に偏りがある。または、衝動性のコントロールが不安定である。といった特徴がある。
これらの特徴が、環境が変わっても相手をする人物が変わっても変わることがない。つまり、状況に応じて考え方が変わったり、つきあい方が変わったりしない。
この為、精神科に相談に行かなければならないほどの、社会的職業的な問題(これは本人だけでなく、まわりも含めて)が起こっている。
二十歳以降、その偏りが変わっていない。
精神疾患によってそれらの特徴が起こったわけではない。
事故や薬によってそれらの特徴が起こったわけではない。

更にまとめると
パーソナリティ障害は、認知の仕方や感情の表し方、人間関係の取り方などに独特の偏りがあり、しかもその幅が狭く、また、その独特さや他の何らかの要因のため、失敗から学びうまく適応する方法を考え選択することができず、適応困難となっていると考えることができる。更に、衝動性のコントロールの不安定さが、その状態を強めていることもあり得る。ということは、治療というのは性格を治すのではなく、本人の持つ認知の問題や表現の問題を取り扱うこと、本質的には人が経験から学ぶことを援助すること
人間は多かれ少なかれ、何らかの偏りを持っている。あるいは人生の中の出来事により偏りが生じることもある。この偏りそれ自体は障害ではない。この偏りにより、社会生活を送ることが困難となり、様々な2次症状を示してくる場合、あるいは社会的な問題を示してくる場合、また、これらの2次的に起こった問題によりさらにその偏りが強化され固定される場合、これもまだパーソナリティ障害とはいわない。基本的には適応障害と考える。環境や人が変わったり状態が変化しても、相変わらず同様の問題が起こってくる。しかもその問題が同様に繰り返される場合、初めてパーソナリティ障害を疑う。